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2015-16 戦力分析:トロント・ラプターズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、トロント・ラプターズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:デマーレ・キャロル、ビスマック・ビヨンボ、コーリー・ジョセフ、ルイス・スコラ
 
退団選手:ルー・ウィリアムズ、グレイビス・バスケス、アミア・ジョンソン、タイラー・ハンズブロー

GM のマサイ・ウジーリの手腕により、ここ2シーズンで確実に力をつけたトロント・ラプターズは、堅固で、流れるようなプレーで昨季のレギュラーシーズンを終えた。しかし、プレーオフ1回戦では散々なプレーに終わり、ワシントン・ウィザーズにスウィープ負けで敗退。レギュラーシーズンと同様のパフォーマンスを発揮できなかったばかりか、第4戦は31点差(94-125)で大敗するなど、この夏に変化を加えなければならないことは明白だった。

それでもウジーリは、ドウェイン・ケイシーHCの続投を決め、チームの柱であるデマー・デローザンとカイル・ロウリーのバックコートも解体せず、ジョナス・バランチュナスとの中心トリオを残留させた。そこに、守備で高い評価を得ているロールプレイヤーのデマーレ・キャロルを加え、足りない部分を埋めた。

キャロルといえば、昨季アトランタ・ホークスで3ポイントシュート成功率39%を記録し、センター以外のポジションならば守れる万能型の選手だが、キャリア4年目までは出場時間が1試合平均10分たらずの選手だ。年俸も昨季まで200万ドル(約2億4000万円)を超えるていどだったが、ウジーリは4年6000万ドル(約72億2500万円)という破格のオファーを提示し、獲得した。もし、強いメンタリティを持つキャロルが、チームに欠けているタフネスさをもたらしてくれれば、それが大きな違いを生み出すことに繋がるかもしれない。ウジーリが大金を投じてキャロルを獲得した理由は、おそらくこれだ。

ラプターズは、キャロルとの契約以外に目に留まる補強はしていない。デローザンは来オフにフリーエージェントになるため、再契約するかを決めなければいけないが、ほかにFAとなる選手を獲得する可能性も残そうと、今夏の再契約を見送った。

先月バランチュナスと4年6400万ドル(約77億円)で延長契約を結んだ動きは正解だ。2014-15シーズンは平均12得点、8.7リバウンドと一昨季からあまり成長していないが、まだ23歳で、チームにとって有用な7フッターなど、そう簡単には見つからない。見つけようとすれば、天文学的なコストがかかってしまう。

アミア・ジョンソンを放出してビスマック・ビヨンボを獲得した狙いは、バランチュナスに欠けているブロックショットを補うためだろう。そして、タイラー・ハンズブローよりもオフェンシブで、信頼できるベテランのルイス・スコラも加わり、フロントコートの厚みは増した。

昨季のシックスマン賞に輝いたルー・ウィリアムズを残さなかったのは意外だったが、セカンドユニット強化のため、ウジーリはコンボガードのコーリー・ジョセフと契約した。

だが、イースタン・カンファレンスからプレーオフに進出するには、これだけの補強で十分だったのだろうか? ここ2シーズン連続してディビジョン優勝を果たしてはいるが、ラプターズのライバルは、実質クリーブランド・キャバリアーズ、ホークス、シカゴ・ブルズ、ウィザーズの4チームだ。キャブズとホークスは頭1つ抜けているものの、ラプターズを含むほかの3チームは横並びと言って良い。

ラプターズに足りないものは、真のスター選手の存在だ。ロウリーとデローザンは優れた選手だが、どちらもウィザーズに圧倒されたプレーオフで流れを変えられるだけのプレーはできなかった。新加入キャロルは、フランチャイズプレイヤー並の年俸を取る優秀なロールプレイヤーで、球団を代表する選手ではない。

FA市場の中心だったラマーカス・オルドリッジの獲得に失敗したため、今夏は選択肢が限られていたとも言える。本当の意味で違いを生み出せる選手は、彼以外にはいなかった。そして、そういう類の選手は、往々にしてドラフトで指名される。

来季の目標は、プレーオフ1回戦より上のラウンドに勝ち進むこと。ウィザーズとのシリーズで味わったことの1つでもキャロルが打破してくれれば、可能性はある。

原文: 30 Teams, 30 Days: Raptors hope Carroll is key piece to moving to next level by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ