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2015-16 戦力分析:デトロイト・ピストンズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、デトロイト・ピストンズ編を紹介しよう。   

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:アーロン・ベインズ、スタンリー・ジョンソン、エルサン・イルヤソバ、マーカス・モリス
 
退団選手:グレッグ・モンロー、ジョナス・ジェレブコ

スタン・バン・ガンディがHCと球団社長を兼任するようになって2年、ようやくバン・ガンディHCが求める陣容が揃いつつある。

昨季ジョシュ・スミスに見切りをつけ、オフにはグレッグ・モンローも退団。ひょっとすると、来季開幕後にはブランドン・ジェニングスも退団という流れになるかもしれないが、彼らは、バン・ガンディHCがピストンズで実現させようとしているスタイルにフィットしない選手と判断された。

チーム再建には、どうしたって時間がかかる。ピストンズは2年という時間をかけ、バン・ガンディHCのチームを作り上げた。すべては、2007-08シーズンを最後に負け越が続く古豪を復活させるために。

だが、あくまでもスタート地点に立っただけで、まだまだやるべきことは多い。それでも、指揮官が求める布陣でロスターを構成できるようになったことは、大きな意味を持つ。

本来であれば、今オフに退団したモンローと、アンドレ・ドラモンドを軸とするチームを作りたかったのだろう。ピストンズは、フリーエージェントとなったモンローに十分過ぎるオファーを提示したが、ただ上手くいかなかっただけのことだ。

来季は現有戦力であるケンテイビアス・カルドウェル=ポープ、ジョディ・ミークス、レジー・ジャクソン、アーロン・ベインズ、そして新人スタンリー・ジョンソンを軸とするチームを作り、成長させていくプランを実行するのみだ。

今オフに5年契約を結んだジャクソンには大金を投じた。新契約の内容は1年平均して推定1700万ドル(約20億4600万円)とも言われている。この金額は、ジャクソンがオクラホマシティ・サンダーでバックアップを務めたラッセル・ウェストブルックの年俸よりも高額だ。高い買い物だったかもしれないが、ジャクソンは昨季中のトレードでチームに加入後、良い働きを見せた。そして25歳という年齢なら理解はできる。

そのジャクソンの競争相手となるべきはずのジェニングスに対するバン・ガンディHCの態度は異なる。昨シーズンにアキレス腱断裂の重傷を負ったジェニングスは、来季終了後に契約満了を迎える。もし健康な状態に戻ったとしても、今のままでは綱渡りの状態だろう。ジェニングスは試合の局面を変えるビッグショットを決める能力に優れている反面、シュートセレクションの悪さや、つまらないミスも目立つ。けがを克服して以前の状態に戻らなければ、トレード要員としての価値もない。

退団したモンローの穴は、オフに獲得したエルサン・イルヤソバとマーカス・モリスが埋めてくれる。ミルウォーキー・バックスで安泰のキャリアを送れると思われたイルヤソバだったが、突然のトレードでピストンズに加入。モリスは双子のマーキーフほどの才能はないが、チームを活性化させる若さとエネルギーを注入してくれる。

ドラフト8位で指名したジョンソンは即戦力クラスで、サマーリーグの試合を見る限り、NBAの試合にもすぐに対応できるだろう。19歳という年齢もプラス材料だ。

そして、サンアントニオ・スパーズが大物FAラマーカス・オルドリッジの獲得に動いた瞬間を見逃さなかったバン・ガンディHCは、実績のあるビッグマン、ベインズの獲得に成功する。スパーズのシステムにフィットした点はピストンズにとっても朗報。ただし、28歳という年齢を考えれば、全盛期も終わりに近づいている可能性も高く、そこだけが懸念される。

それでも全体的に見れば、ピストンズの中心選手は若く、身体能力に優れる選手で構成されている。才能ある選手と経験豊富なベテランをベースに作られたチームが最低限の目標に掲げるのは、プレーオフ進出だ。理想は、ドラモンドがオールスタークラスに成長し、ジャクソンが高額契約に見合う活躍を見せ、ジョンソンが新人王争いの主役になることだが、再びファンを沸かすことができるチームがほぼ完成した。この20年間、チームのプレーに興奮したファンによって賑わい、チームスポーツ史上に残る成功を収めたザ・パレス・オブ・オーバーンヒルズに、熱気と活気を取り戻せるだけの陣容が集まった。

一夜にして成し遂げられることではないが、バン・ガンディHCは再建に向け、正しい道を歩んでいる。指導者としての評価は間違いなく、実質的にチーム編成を預かる立場としても致死的ミスは犯していない。ようやく、彼のチーム、彼の時間が流れるチームへと、変貌を遂げつつある。

原文: 30 Teams, 30 Days: Pistons get their Van Gundy makeover by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ