NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ニューオーリンズ・ペリカンズ編を紹介しよう。
新選手/ヘッドコーチ:アルビン・ジェントリー、ケンドリック・パーキンス
退団選手:ジマー・フレデッテ、ジェフ・ウィシー
ほぼ現状維持の戦力に近いが、実質レベルアップしたのも同然だ。その理由は、新選手を獲得したからではなく、新システムを導入するからにほかならない。
昨季ウェスタン・カンファレンスの混戦を脱してチームをプレーオフへ導いたモンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチを解任し、ニューオーリンズ・ペリカンズは、優勝チームのゴールデンステイト・ウォリアーズのオフェンスシステムを構築した、アシスタントコーチのアルビン・ジェントリーを新たな指揮官として招聘した。
ジェントリーHCは、ウォリアーズ以外にもロサンゼルス・クリッパーズでACを務めたほか、フェニックス・サンズのHC時代にはハイスコアリングオフェンスでチームを上位に導く実績を残している。
新チームでは、エースのアンソニー・デイビスを中心とするオフェンスシステムを組む。懸念されるのは、デイビスに次ぐスコアラーの存在だ。ウォリアーズにはステファン・カリーとクレイ・トンプソンの“スプラッシュブラザーズ”、クリッパーズにはブレイク・グリフィンとクリス・ポールがいたが、彼らに匹敵する武器は今のペリカンズにはないため、劇的に得点力がアップするとは考え難い。
それでもライアン・アンダーソン、タイリーク・エバンズ、ジュルー・ホリデイの才能を生かし、デイビスをサポートすることは可能だ。3ポイントシューターもアンダーソン、ホリデイ、そしてクインシー・ポンデクスターと揃っているが、ジェントリーHCは、相手のディフェンスを広げるため、デイビスにも3Pを打つよう求めるだろう。
今オフに大きな補強を実行しなかった理由は、主に2つ考えられる。
1つは、球団がジェントリーHCに現有戦力を評価する時間を与えたかったから。そしてもう1つは、来季終了で高額契約を満了する選手がいるからだ。アンダーソンとエリック・ゴードンは来季で満了し、ホリデイとエバンズは2016-17シーズン終了まで契約を残している。チームはオマー・アシクとアレクシス・アジャンサと延長契約を締結したものの、支出は抑えた。
アシクはインサイドの守備とリバウンドに優れた選手で、デイビスの守備の負担を軽くしてくれる。しかし、軽率なミスが多く、オフェンスでの活躍はさほど期待できない。そして、昨季はデイビスとアシクのコンビが特に守備で機能したという印象はなかった。アジャンサの得点力も限界があり、ファウルを犯す癖もあるが、ジェネラルマネージャーのデル・デンプスは2人が必要と判断した。
来季からペリカンズは新たなチームに生まれ変わる。毎シーズンごとに競争力が高まっているウェストの争いを抜け出すには、現状維持のままでは困難だ。デイビスがチームにいる以上、ロッタリーに回ることはほぼないと予想できるため、彼らはドラフトに頼らない方法でチーム力を高めなくてはならない。
得点力、ディフェンス、ブロックに優れ、チームメイトを見つける視野の広さを持つデイビスは、極めて稀な存在だ。ただし、オフに5年1億4500万ドル(約173億9700万円)のマックス契約を結んだとはいえ、残された時間は5年しかないと考えるべきだろう。その時計の針は、もう動き始めている。
原文: 30 Teams, 30 Days: Pelicans put faith in Gentry, Davis by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)