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2015-16 戦力分析:ブルックリン・ネッツ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ブルックリン・ネッツ編を紹介しよう。 

2015-16 NBA全30チーム戦力分析 


新選手:ランデー・ホリス=ジェファーソン、アンドレア・バルニャーニ、トーマス・ロビンソン、シェーン・ラーキン、スティーブ・ブレイク、ダンテイ・ジョーンズ
 
退団選手:デロン・ウィリアムズ、メイソン・プラムリー

不細工――。ここ数年ブルックリン・ネッツが取った行動、そして彼らが再建の土台作りのために取った行動を考えたとき、このフレーズが頭をよぎる。

金でタイトルを買おうとしたチームにはツケが回ってくる。ビジネスとは、そういうものだ。しかし、ネッツは大枚を叩いてから1度も優勝争いに加われていない。優勝の可能性を感じさせたことさえなかった。彼らは、リーグ史に残るほど高額なラグジュアリータックスを支払い、ジェイソン・キッド(前ネッツヘッドコーチで、現ミルウォーキー・バックスHC)に振られてしまったのだ。オーナーのミハイル・プロホロフが出した大金による補強策によって、チーム再建が厳しい状況を迎えた。

忘れている人もいると思うので改めて言っておこう。ネッツは、2019年のドラフトまで1巡目指名権を保持していない。彼らは球団の未来を担保に賭けに出て、失敗した。今後チームの年俸総額を削りながら勝てるチームを作り、しかもファンを満足させることは至難の業だ。その重圧をジェネラルマネージャーのビリー・キングが一手に担うことになる。キングのために触れておくが、彼はオーナーグループの意向に従い、ハドソン川を越えるに際し、大金を投じた。しかし、バックアッププランを用意していなかったおかげで危機的状況に瀕している。

今オフは選手獲得よりも、“債務整理”の夏だったと言える。手始めに、球団を代表する選手になり損ねたデロン・ウィリアムズをダラス・マーベリックスへ放出。ジョー・ジョンソンとの契約はあと1年残っているものの、ネッツは技術が高いビッグマン、ブルック・ロペスを中心とする再建プランに舵を切った。

ポジションのわりにはリバウンドを取らず、シーズンを通して健康な状態を保てないという印象のあるロペスは、昨季は平均17.2得点、7.4リバウンドを記録した。オフにフリーエージェントとなったが、チームは3年総額6000万ドル(約71億9100万円)で再契約し、流出を阻止した。27歳という年齢を考慮しても妥当な金額だろう。しかし、傑出した選手というわけでもなく、その存在が順位に直接的な影響を及ぼさないサディウス・ヤングと4年5000万ドル(約59億9200万円)の契約を結んだことはどうにも解せない。

チームの経済事情を考えれば、メイソン・プラムリーの去就についても決断を下す必要があったが、新たな血となり得る新人ランデー・ホリス=ジェファーソンとの交換で、ポートランド・トレイルブレイザーズへ放出した。身体能力が高く、ディフェンスでのハードワークが高く評価されているホリス=ジェファーソンだが、彼はスコアリングポジションの選手だ。残念ながら、NBAレベルで活躍するにはオフェンス面での成長が不可欠だ。

そのほかに獲得したトーマス・ロビンソン、アンドレア・バルニャーニ、シェーン・ラーキンは、穴埋めのためでしかない。ただ、彼らは方向を誤ったキャリアを正すため、ハングリーな姿勢を持っている。それがウィリアムズと異なるところだ。ポイントガードの層が薄いため、3選手の中で生産的な数字を残せる可能性が高いのはラーキンだろうか。

来オフにジョンソンを放出できれば、4400万ドル(約52億7300万円)もの空きがキャップスペースにできるのは朗報だ。しかし、来オフまでにキングGMが目の前の難題を解決できなければ、ネッツへの移籍を希望する大物FA選手が現れるとは考えにくい。

つまるところ、今のチームではロッタリー行きは確実と言えよう。だが、1巡目指名権を持っていないのである。

ブルックリンに本拠地を移転させたとき、着実に再建する手法を取れなかったのだろうか? ファンが長期的な再建を受け入れるわけがないと考えたのだとしたら、その時点でロジックは崩壊している。たいていの場合、本拠地を移転させた新チームは、ファンのサポートという恩恵を受けられる。ただし、彼らが関心を持ってくれ、結果を見届けたいと思ってくれるチームに限るが……。

プロホロフが目指したのは、即時優勝可能なチーム作りであり、ニューヨーク・ニックスとのし烈なライバル関係だった。“成功のための青写真”がモットーだったはずだが、成功を収めるには何年もかかりそうな雲行きになってしまった。

地元のライバル対決についても触れておこう。ニックスもネッツと同様に低迷期に直面してはいる。だが、彼らは千万ドル単位の金をばら撒きはしなかった。

原文: 30 Teams, 30 Days: Bill now due for sliding Nets by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ