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2015-16 戦力分析:ダラス・マーベリックス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ダラス・マーベリックス編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:デロン・ウィリアムズ、ウェスリー・マシューズ、ジェレミー・エバンズ、ザザ・パチュリア、ジャスティン・アンダーソン、ジャベイル・マギー
 
退団選手:ラジョン・ロンド、タイソン・チャンドラー、リチャード・ジェファーソン、モンテ・エリス、アル=ファルーク・アミヌ、アマーレ・スタウダマイアー

まずはデアンドレ・ジョーダンの一件から述べよう。

結論から言うと、フリーエージェントのジョーダン獲得失敗がマブスに大打撃を与えたわけではない。

毎シーズン競争力が高まっているウェスタン・カンファレンスにおいて、もはやレギュラーシーズン45勝はプレーオフ当確ラインではなくなった。たとえジョーダンが加入したとしても、マブスが即優勝候補にのぼることはなかっただろう。たしかに、ジョーダンは現在のトップ10に入るセンターで、チーム力を高めてくれる存在だ。だが、平均20得点、15リバウンドの活躍は期待できない。

マブスは、FAとなったジョーダンを中心にプレーすると本人に伝え、口説き落とそうとした。しかし、よく考えてみて欲しい。ペイントの外からシュートを決められず、フリースロー成功率も低く、ダンクを狙える状況以外で得点が期待できない選手にボールを託せるだろうか?

それでもマブスは勇敢にジョーダン獲得を狙い、1度は成功したかに思われた。最終的に、ジョーダンはドク・リバースHC、チームメイトらの説得を受け、口頭での移籍合意を反故にし、ロサンゼルス・クリッパーズ残留を決断した。

激戦必至のウェストで、再建段階に入ったマブスが勝利数を伸ばすことは簡単ではない。このままでは、ダーク・ノビツキーのキャリア終盤期は優勝争いから遠のくだろう。そこで、ノビツキーが健在なうちに次の手を打った。ウェスリー・マシューズの獲得に大金を投じたのだ。だが、マシューズは昨季中にアキレス腱を断裂する重傷を負った。ポートランド・トレイルブレイザーズ時代と同様、攻守でハードにプレーできれば成功だろうが、もし問題が発生すれば、無駄な大金を費やしたことになる。

そして、今オフに獲得したデロン・ウィリアムズについても触れないわけにはいかない。彼の力は、あとどのくらい残っているのだろう? たった3年間でトップ10ポイントガードからジャレット・ジャックの控えに転落した現実は、あまりにも悲しい。地元のダラスに戻り、新たなスタートを切れるものの、年齢、そして慢性的なけがを克服するのは簡単ではない。ましてや現在のウェストはPG全盛時代に突入した。もしマブスで輝きを取り戻せなければ、ウィリアムズのキャリアは終わったも同然だ。

サイズがあり、突如急成長するポテンシャルを秘めるジェレミー・エバンズだが、27歳という年齢がネックになり得る。新人ジャスティン・アンダーソンを指名した理由は、将来的に得点力のあるウィングプレーヤーになれる可能性があると感じたからだろう。

それだけに退団したローテーション選手5名の存在が際立つが、彼らについても触れておこう。

おそらく、ラジョン・ロンドの退団は、誰からも残念に思われないだろう。連携が機能せず、リック・カーライルHCとも衝突し、完全に失敗に終わった。
モンテ・エリスは歓迎こそされたが、劇的な変化を与えられないまま退団した。
優勝した2011年のオフにタイソン・チャンドラーを放出したのは判断ミスと言えるが、年齢的なことを考慮しても、今回延長契約を提示しなかったのは正しい判断だ。
そして、本来ならば、活躍したアル=ファルーク・アミヌのような選手を簡単にブレイザーズに移籍させなかったかもしれないが、彼は違いを生み出せるタイプではない。

今マブスが取るべき行動は、リーグの収入増に伴いサラリーキャップの金額が増額される時期に備え、チームの総年俸額を抑えておくこと。

ただ、強豪ウェストで、しかもノビツキーのキャリアが終わりに近づきつつありながらも球団の新たな顔になれる選手を獲得できなかったのは恥ずべきことだ。再建に時間がかかればかかるほど、ノビツキーが引退するまでに2つ以上のリングを獲得する確率が低くなるのだから。

原文: 30 Teams, 30 Days: Mavs move towards rebuild by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ