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2015-16 戦力分析:アトランタ・ホークス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、アトランタ・ホークス編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:ティム・ハーダウェイJr.、ティアゴ・スプリッター、ジャスティン・ホリデイ
 
退団選手:デマーレ・キャロル、ペロ・アンティッチ

アトランタ・ホークスをクリーブランド・キャバリアーズの対抗馬と考える意見があっても、理解はできる。だが、彼らにとって最大の敵となり得るのは、球団史上初の年間60勝、イースタン・カンファレンス決勝進出を成し遂げた昨季の彼ら自身だ。果たして、今季のチームは昨季を上回れるだろうか?

不安要素は多い。カイル・コーバーは手術明けで、昨季ディフェンスと3ポイントシュートで真価を発揮して不動の地位を築いたデマーレ・キャロルは、同じイースタン・カンファレンスでしのぎを削り合うトロント・ラプターズに移籍した。

とはいえ、仮に年間60勝から50勝に成績を落としたとしても、失敗と見る必要はない。考えてみて欲しい。ドミニク・ウィルキンズ以降、スター選手と呼べるプレーヤーは現れず、長年フィリップス・アリーナの客席も満員にはならない不遇の時代を過ごしてきたのだ。アトランタは魅力的な街だろうが、エリートクラスのフリーエージェントにとって、決して魅力的な球団ではないということを認識しなくてはならない。

オフには、現在のチームを作り上げた前ジェネラルマネージャーのダニー・フェリーが、人種差別発言疑惑が元で引責辞任し、マイク・ブデンホルザー・ヘッドコーチが同職を兼任する形で後任に就任。ブデンホルザーHCがGMとして取った行動は、チーム力の現状維持だった。

まず、FAになったポール・ミルサップと再契約を締結した。キャロルの代役には身体能力の高い成長株ケント・ベイズモア、ニューヨーク・ニックスからは守備に難はあるものの3ポイントシューターとして評価の高いティム・ハーダウェイJr.を獲得した。そして、不運にもニューヨークのナイトクラブでの事件に巻き込まれ、右足腓骨を骨折したタボ・セフォローシャの完全復活も期待できる。守備に秀でるセフォローシャとベイズモアに、アウトサイドシューターのハーダウェイJr.でキャロルの穴は埋められる計算が立つ。

ただし、1つだけ心に留めておいてもらいたい。ホークスはシステム重視のチームで、1人の選手に頼るチームではないということを。そして、彼らのスタイルは、3Pと堅固なディフェンスから成り立っているということを。わずか2年前はユタ・ジャズで燻っていたキャロルが今の地位を築けた理由は、ホークスのシステムに合致したからだ。

14-15シーズンのホークスはラッキーだった。プレーオフまで主力に長期離脱者が現れず、開幕から躓いたキャブズの先を歩き続けることができた。しかし、新HCのシステムにも慣れ、スーパースターたちが万全の状態で戻る今季は、ホークスのバックミラーには映らないことだろう。シカゴ・ブルズにも言えることだが、彼らの実力はイーストで抜きん出ている。

今オフ最注目FA選手だったラマーカス・オルドリッジの獲得に動かなかったホークスは、オルドリッジ加入による影響で放出されたティアゴ・スプリッターをトレードで獲得した。ナチュラルなセンターであるスプリッターが加わり、アル・ホーフォードをパワーフォワードで起用できる。スプリッター、ホーフォード、ミルサップというビッグ3結成を想像してしまうかもしれないが、動きの速いスモールフォワードへの対応が難しいことをプレーオフで露呈したミルサップを同ポジションで長時間使うことは考え難く、成立するとしても限られた時間になるだろう。

静かな夏になったホークスだが、レギュラーシーズンでの勝敗数にかかわらず、“流れに乗り続けられれば”今季もプレーオフ1回戦以上には進出可能だ。そして、新選手がシステムにハマれば、再び球団史に残る成績を収めることもできるかもしれない。だが、レブロン・ジェイムズにコテンパンにやられたことを差し引いても、昨春以上の位置には辿りつけないだろう。

原文: 30 Teams, 30 Days: Can Hawks' upward swing persist? by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ