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2015-16 戦力分析:メンフィス・グリズリーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、メンフィス・グリズリーズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:マット・バーンズ、ブランデン・ライト、アンドリュー・ハリソン、ジャレル・マーティン
 
退団選手:コスタ・クーフォス

グリズリーズは、“良い位置”に落ち着いている。大物選手を獲得できるだけの金銭的余裕はないが、彼ら以上にプレーオフで昨季王者のゴールデンステイト・ウォリアーズを追い詰めたチームはいなかった。

来季もレギュラーシーズン50勝は確実で、プレーオフでも1回戦以上には勝ち進むことはできるだろう。しかし、優勝を狙うチームになるには、チームを引っ張れるスコアラー、対戦相手のディフェンスを広げられるシューターが必要になる。

グリズリーズがオフに最優先したことは、フリーエージェントになったマーク・ガソルとの延長契約だった。メンフィスで愛されているガソル自身もチームを離れる考えがなく、交渉もすんなりまとまり、延長契約を結んだ。来季も活躍が期待されるガソルは、これで全盛期をグリズリーズで迎えることになった。

グリズリーズは、リーグトップクラスのディフェンスを誇るチームで、ハーフコートプレーを採用している。王者ウォリアーズが最も恐れるタイプは、自分たちのペースに引き込む術を持った、グリズリーズのようなチームなのだ。

攻撃の核は、ペイント内に君臨するガソルと、ザック・ランドルフだ。強力デュオによってここ数シーズン成功を収めてきたグリズリーズだが、いつまでも彼らのレイアップだけに頼っているわけにはいかない。ポストシーズンでの数字を見ても、ガソルはフィールドゴール成功率39%、ランドルフは42%と、レギュラーシーズンの成績を下回った。そして、Z-Boも34歳と若くはない。

この2年、グリズリーズはペリメーターで得点が取れる選手を探し続けた。だが、ビンス・カーターは来るのが5年遅く、コートニー・リーはチームに貢献してくれる選手だが、十分ではない。そして、ジェフ・グリーンは安定感に欠ける。ウォリアーズは、プレーオフでトニー・アレンにワイドオープンな状態でシュートを打たせたが、それも安定感に欠けるが故の戦術だった。

昨季グリズリーズが決めた3ポイントシュートの数は、1試合平均5本、成功率は33%だった。悪くはない数字だが、ガソルとランドルフが相手の守備に苦しむ状況になれば、十分とは言えない。

残念ながら、オフの間にこの問題を解決できる選手を獲得できたわけではなかった。守備に秀で、エースキラーと呼ばれるマット・バーンズを格安で獲得したが、得点パターンはコーナーからの3Pのみ。ロサンゼルス・クリッパーズが彼を手放した理由は、フォワードの選手としては得点力が物足りないからだ。ただ、バーンズの守備力が加わり、チーム力は維持できた。

今のグリズリーズが最優先に考えなければいけないことは、来年のオフにFAとなるマイク・コンリーとの延長契約に向け、キャップスペースを空けておくこと。プレーメーカー、スコアラーとしての才能はもちろんのこと、グリズリーズのロスターで信頼でき、安定感のあるアウトサイドシューターはコンリーしかいない。

ドラフトではルイジアナ州立大出身のジャレル・マーティン(パワーフォワード)と、ケンタッキー大出身のアンドリュー・ハリソン(ポイントガード)を指名したが、彼らにはプロの試合に慣れる時間が必要で、即貢献できるとは考え難い。

オフに3年1800万ドル(約21億6300万円)で獲得したブランデン・ライトは戦力として計算できるものの、彼もペイントで生きる選手で、深い位置からのシュート力には欠ける。それでも、サクラメント・キングスと4年3300万ドル(約39億6700万円)の契約を結んだコスタ・クーフォスよりは格安のバックアップだ。

スタイルも、チーム力も現状維持に成功したグリズリーズは、来季も優勝候補たちの天敵になれる。彼らが王者になる可能性は低いが、トップレベルのチームに脅威を与えられる存在だ。

原文: 30 Teams, 30 Days: Grizzlies 'stuck' in comfortable position by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ