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2015-16 戦力分析:クリーブランド・キャバリアーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、クリーブランド・キャバリアーズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:モー・ウィリアムズ、リチャード・ジェファーソン、サーシャ・カーン
 
退団選手:ケンドリック・パーキンス、ショーン・マリオン、マイク・ミラー

今夏クリーブランド・キャバリアーズに必要だったことは、休養と回復だった。ただただ酷使した肉体を休め、回復させることにすべてを注ぐことが重要だった。

ケビン・ラブは肩の負傷でプレーオフの大半を欠場。カイリー・アービングはひざの負傷でファイナル第1戦以降を欠場。アンダーソン・バレジャオにいたってはアキレス腱断裂でレギュラーシーズン26試合の出場に終わった。これを残念と言わず、なんと表現すれば良いのだろう?

肉体面の回復だけでなく、心の休息もキャブズには必要だった。なぜなら、「もし……だったら」という憶測が頭を過るからだ。

もし全員がゴールデンステイト・ウォリアーズのように健康だったら……今もクリーブランドの街は50年ぶりのメジャースポーツタイトルに歓喜し、街中のお祭り騒ぎは続いていただろうか?

リーグベストのチームが優勝したのか、それとも最も健康だったチームが優勝したのだろうか?

最低でもまた1年、そして、また1シーズン待たなくてはならないクリーブランドの街とキャバリアーズは、夏の間中こうしたイライラにうんざりさせられなくてはならなかったのだ。

来季のキャブズは、昨季とほぼ変わらない陣容で迎えられる。もし私利私欲のためだけに残った選手がいるとしたら、それはそれで問題が生じる可能性もあるものの、それだけレブロン・ジェイムズの存在は絶対的で、優れた選手なのである。そして、サポーティングキャストも充実しているということなのだ。

アービングの復帰が来年1月まで遅れるという情報もある。もしこれが真実なら、キャブズは新たな得点源をチームの中で見つけないといけない。言うまでもないだろうが、適任はラブだ。

ラブがキャブズでのプレー、レブロンとの関係に不満を抱き、退団を希望しているという噂が出たものの、オフの間に消えてなくなった。当たり前のことだが、2人のオールスターはお互いを理解し合い、同じ絵を描く必要があった。シーズンが進むに連れ、ラブはキャブズでの役割に順応し始め、オフには延長契約を結んだ。5年1億1000万ドル(約132億6000万円)という大型契約を結んだラブは、オフにレブロンと会合を持ち、これまでよりもお互いの理解を深め合った。アービングの復帰が遅れる可能性がある以上、ミネソタ・ティンバーウルブズ時代と同様の活躍が求められるが、いずれにしても、彼とレブロンの関係は、より強固になった。

契約が上手くまとまっていない選手もいる。レブロンの“弟分”トリスタン・トンプソンだ。まだチームとの契約はまとまっていないが、キャブズがパワーフォワード2人に2億ドル(約241億円)以上の予算を使う危険性もある。トンプソンは若く、オフェンシブリバウンドマシーンで、プレーオフでラブが離脱して以降チームを救った。だが、彼のオフェンスはまるでお話にならない。単純なポストムーブもできず、ジャンプシュートでも成長が見られない。今後どういう展開になるかは、“兄貴分”にかかっている。

キャブズオーナーのダン・ギルバートは、チームの財政状態の健全化よりも、優勝を選択した。だからこそ、イマン・シャンパートに年間平均1000万ドル(約12億円)もの年俸を約束する契約を提示したのだ。ディフェンスでは頼りになる存在だが、ファイナルで露呈したようにオープンなジャンパーを決められない。それでもギルバートは、優勝のために主力を残すこと、そしてシャンパートの守備力によるチームの安定感を選んだのだ。

アービング不在時期の得点力は、かつてレブロンの相棒を務めたモー・ウィリアムズが補ってくれる。以前キャブズに在籍したときは主な得点源だったが、今は状況が異なる。年齢こそ重ねたが、円熟味を増したプレーは優勝に欠かせないピースになってくれるだろう。

そして、デイビッド・ブラット・ヘッドコーチにとっても、今オフがNBAでの1年目を振り返る良い時間になっただろう。本人自ら、チーム内のエゴをまとめ、メディアと上手く付き合い、意見の食い違いに悩まされたことは想像以上に大変だったと認めている。だがそれでも、最低限の仕事だったファイナルにチームを導いた。そして、戦いが終わった瞬間から、来季の優勝という重圧がのしかかったのも事実だ。

昨季はシーズン序盤につまづき、53勝でレギュラーシーズンを終えたものの、イースタン・カンファレンス決勝ではイースト首位通過のアトランタ・ホークスをスウィープで下した。もし選手たちが健康で、万全なら、来季もイーストのスローガンは、”ストップ・ザ・キャバリアーズ”になる。

全盛期まっただ中にいるベストプレイヤーを擁しているのだから、至極当然のことだ。

原文: 30 Teams, 30 Days: Cavs healing up for title run by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ