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2015-16 戦力分析:シカゴ・ブルズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、シカゴ・ブルズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新ヘッドコーチ/選手:フレッド・ホイバーグ、ボビー・ポーティス
 
退団ヘッドコーチ:トム・シボドー

変えるべきではないという意見もあった中、ブルズはファイナル進出という目標達成のため、トム・シボドー前ヘッドコーチを解任し、昨季までアイオワ州立大で指揮を執ったフレッド・ホイバーグを招聘した。

2011年にシーズンMVPを受賞したデリック・ローズが復活し、中心選手は若く、リーグ屈指のディフェンスを併せ持つチームには、ファイナルに進出するだけの力は十分にある。強豪チームの少ないイースタン・カンファレンスなら尚更だ。

今のブルズは、2011年のときと比べてローズへの依存度が低いチームになった。ジミー・バトラーやパウ・ガソルらがローズに代わって勝利に導くケースもある。チームにとっては良いことに思えるだろうが、悪い面も存在する。彼らが活躍するということは、ローズがかつてのようなスーパースターではなくなってしまうということでもあるからだ。

今オフ、ブルズはバトラーと5年8780万ドル(約105億円)というマックス契約を結んだ。2014-15シーズンはオールスターに選出され、MIP賞に輝いた選手なのだから異論はない。だが、見方を変えれば、「これだけの活躍をしたのは昨季だけで、しかも勝負を決める重要な場面でさほど活躍したわけでもないのに、すでにスーパースター並の報酬を得た」と、言えなくもない。しかし、終盤に活躍する機会が少なかったのはバトラーだけの責任ではない。むしろバトラーは、終盤ローズにボールを託すことが多かった。ホイバーグHCが解決すべき問題は、ここにある。新HCは、スーパースターの気風を持つローズに対し、変化の必要性を説かなければならない。

なにもローズが過去のようにチームを勝利に導けないと言っているのではない。豪華なサポーティングキャストがいる以上、その必要がなくなったのだ。もしホイバーグHCがローズとまだ話し合っていないのであれば、できるだけ早くローズに説明し、理解を促すことが重要になる。ローズが周りを生かせる選手になったとき、ブルズのチーム力は増す。そして、昨季は不仲と噂されたローズとバトラーの関係も改善するはずだ。

もちろんローズにも突破力は残されている。ただ、効率的なオフェンスができていない。昨季のフィールドゴール成功率は40.5%、3ポイントシュート成功率にいたっては28.6%と低かった。彼のプレーを見ていると、時計を2011年に無理やり戻そうと必死になっているのが伝わってくる。昨シーズンはオールスターに選出されなかったが、今もシーズンMVP候補にあがるだけの力があることを証明しようと躍起になっているのが伝わってくる。能力に見合うシステムでプレーすれば、彼は再び素晴らしい選手になれる。それを実行できるかどうかは、本人が新システムに合わせられるかどうかだ。

ブルズが抱えるもう1つの問題は、ジョアキム・ノアだ。一昨季はMVP候補になれるとまで言われたが、クリーブランド・キャバリアーズとのプレーオフ準決勝ではトリスタン・トンプソンに圧倒された。輝きを失った原因が、シボドーの酷使にあったのか、それとも慢性的な負傷によるものだったかは、来季の結果でハッキリする。

今年のドラフトで獲得したボビー・ポーティスは、ハードワークが持ち味の即戦力という評価を得ている。前評判通りの活躍を見せ、ニコラ・ミロティッチとダグ・マクダーモットがさらに成長すれば、フロントコートの選手層が増すため、タージ・ギブソンのトレードも選択肢に加わるだろう。

いずれにしても、来季のブルズの成功はホイバーグHCの手腕次第。現役時代にブルズでプレーした経験はプラスにはたらくだろう。そして、指導者転身後は選手との良好な関係作りに秀で、チームの選手に適したシステムを考案できるという評価を得ているだけに、選手とチームに恩恵をもたらすローズの起用法を見出すことが最重要課題になる。

選手も経験も揃っている今のブルズであれば、プレーオフでもカンファレンス決勝進出は最低限のノルマ。個々の能力を最大限に引き出すオフェンスシステムを構築できれば、昨季のイースト王者キャブズの最大のライバルになれる。

高い目標のように聞こえるだろうが、ブルズの実力からすれば容易いこと。これらのハードルを越えられなければ、基準を満たせなかったということになる。

原文: 30 Teams, 30 Days: Solid Bulls listen to a new voice by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ