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2015-16 戦力分析:ミルウォーキー・バックス

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ミルウォーキー・バックス編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:グレッグ・モンロー、グレイビス・バスケス、ラシャド・ボーン、クリス・コープランド
 
退団選手:ザザ・パチューリア、ジャレッド・ダドリー、エルサン・イルヤソバ

ここ10年近くの間、ミルウォーキー・バックスは幾分かの成功を収めたが、良い時代を持続させられなかった。しかし、平凡なチームに終わる時代は過ぎ去り、新たなオーナーグループとジェイソン・キッドHCの手腕、そしてドラフトを有効に使い、正しい方向に歩き始めている。

バックスが来年のオフにFAとなるケビン・デュラントを獲得することはない。だが、チームの中心は若く、コーチングスタッフも優秀。そして最新式のアリーナ完成もする。ここにきて、ようやく期待が持てる球団になりつつある。

オフにはフリーエージェントのグレッグ・モンローを獲得。万能性のあるパワーフォワードで、リバウンドも取れる。健康なら1試合平均15、6得点、8リバウンド前後の成績を残せるだろう。まだ25歳と若く、フロントコートの選手層を厚くすることに成功した。

オフの補強はモンローだけではない。バックスは、昨季シュートレンジを広げ、ビッグショットを決めるなど成長著しいクリス・ミドルトンとの再契約を決断。これにより身体能力が高く、若く、まだ全盛期を迎えていない選手を中心とするチームを組めるようになった。

来季の中心は、ミドルトン、ヤニス・アデトクンボ、モンロー、ジョン・ヘンソン、マイケル・カーター=ウィリアムズになる。彼らに加わるのは、ひざの手術から復帰するジャバリ・パーカーだ。パーカーは、けがをする前までNBAレベルでも十分に対応できるプレーを見せていたので、実力は申し分ない。これだけの面子が揃っていれば、このまま主力をキープし成長に期待するのもよし、そして大物を獲得する際のトレード要員として考えるもよしと、チームに選択肢を与えてくれる。

気になったのはサポーティングキャストの存在だが、こちらも解決したと考えて良い。

ロッカー内で若手を引っ張ったザザ・パチューリアをダラス・マーベリックスにトレードし、エルサン・イルヤソバもデトロイト・ピストンズに放出したチームは、ドラフト当日のトレードにより、2017年の1巡目指名権と交換でトロント・ラプターズからグレイビス・バスケスを獲得。控え選手を獲得するには高価な対価を支払ったものだが、ジェリッド・ベイレスと同等の力量を持つ選手だけに、スマートな補強と言える。

経験豊富でリーダーシップを発揮できるベテランの存在はないが、もしキッドHCが、若い選手中心のロッカーの雰囲気が良いと感じれば、選手を獲得する必要はないと考えるかもしれない。

来季もプレーオフ争いには加わるだろう。全てが順調に進めば、オールスター選手も誕生するかもしれない。しかし、イースタン・カンファレンスの中心になるには学ぶべきことが多く、最低でもあと2年は必要だ。

モンローと契約し、ミドルトンも残留させた。若手中心のラインナップもできあがり、もしトレードによる補強を選択しても好条件を引き出せる陣容も揃えた。そしてサラリーキャップにも空きがある。明るい未来のあるバックスが、今後も大物FA選手獲得を狙い続けたとしても、サプライズではない。

原文: 30 Teams, 30 Days: Young Bucks laying foundation by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ