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2015-16 戦力分析:ポートランド・トレイルブレイザーズ

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NBA.comのショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、ポートランド・トレイルブレイザーズ編を紹介しよう。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:ジェラルド・ヘンダーソン、マイク・ミラー、ノア・バンレー、メイソン・プラムリー、パット・カナトン、エド・デイビス、アル=ファルーク・アミヌ
 
退団選手:ラマーカス・オルドリッジ、ウェスリー・マシューズ、ニコラス・バトゥーム、ロビン・ロペス

今夏ブレイザーズが行なわなくてはいけなかった“整形手術”は、決して以前よりも美しくなるためのものではなかった。

昨季レギュラーシーズンで51勝をあげたチームの先発4選手が移籍、あるいはトレードで退団。たった1人残ったダミアン・リラードを軸に、新チームを作り上げなくてはならなくなったのだ。

2年連続してシーズン50勝ができれば最高だが、現実は異なる。来季が開幕すれば、昨季の記憶は思い出に変わってしまう。

フリーエージェントになったラマーカス・オルドリッジの移籍には驚かなかっただろう。以前から移籍秒読みと噂され、優勝の可能性を最も感じたサンアントニオ・スパーズと契約。
シューターとして高い評価を受け、粘り強いディフェンスが持ち味のウェスリー・マシューズの退団は痛いが、彼は昨季アキレス腱を断裂した。これから再建に入るチームにとっては、リハビリを経て復帰する選手に、ダラス・マーベリックスが提示した4年7000万ドル(約84億2800万円)という大型契約にマッチするよりも、まだ全盛期を迎えていないリラードに大金を支払うほうが道理にかなう。

ニコラス・バトゥームは、シャーロット・ホーネッツにトレードされ、代わりにノア・バンレーを獲得。1年目の昨季はお世辞にも活躍したとは言えなかったものの、サイズがあって、まだ若い。今のブレイザーズの選手レベルを考えれば、才能を開花させられるだけの出場時間は与えられる。バンレーのほか、非常に有用なバックアップとして頼れるベテランガードのジェラルド・ヘンダーソンも交換要員として獲得できた。

そして、昨季チームに勢いと活力を与えてくれたセンターのロビン・ロペスも、ニューヨーク・ニックスに移籍。マシューズのケースと同様に、ニックスが提示した4年5200万ドル(約62億6000万円)という金額にマッチするのは難しく、ブレイザーズはブルックリン・ネッツから格安でメイソン・プラムリーを獲得する方を選択した。ビッグマンとして起用するにはサイズ不足なプラムリーだが、ロペスよりも身体能力に優れたパワーフォワードで、同レベルの活力をチームに与えてくれる。インサイドの柱となれる選手を獲得するまでの間は、プラムリー、メイヤーズ・レナード、そして同じく格安で獲得したFAのエド・デイビスが中心になるだろう。

アル=ファルーク・アミヌは、着実に成長し続けながらも過小評価されているスモールフォワードで、アトランタ・ホークスでブレークしたデマーレ・キャロルと同様に、ブレイザーズでポテンシャルを発揮する可能性も期待できる。

先述したブレイザーズが今オフに獲得した選手の大半は、バックアップ、もしくはサポーティングキャストとして有能な選手だ。今後はリラードとCJ・マッコラムのバックコートが中心になる。バンレー、アミヌ、プラムリー、デイビスに多くの出場時間を与えられるチーム状況であるため、ダイヤの原石が多いロスターと言えるかもしれない。そして、真のダイヤモンドは来年のドラフトで獲得できるかもしれない。

再建云々はともかく、来季ブレイザーズが目標とすべきことは、できる限り痛みを伴わないシーズンにすることだ。GMのニール・オルシェイに要求されるレベルは高く、テリー・ストッツHCも辛抱強くチームを作らなければいけない。そして、ここ数年オルドリッジに苦しめられてきたファンも、忍耐強く新チームの完成を待つべきだ。

ゴールはシンプルで、マッコラムとリラードが全盛期を過ぎる前に中心になれる陣容を整えること。現在25歳のリラード、23歳のマッコラムならば、あと3~5年はドラフト、FA選手獲得、トレードを駆使して再びエリートレベルにチームを戻す方針が取れる。強豪揃いのウェスタン・カンファレンスでも、再建は可能だ。ただし、1つでも判断を誤れば、それだけ長い歳月を必要としてしまう。

来季は昨季の51勝から15~20は勝ち星を落とすだろうが、2シーズン後のチームはどうなっているだろう?  きっと明るい新時代がやってくると期待し、今後のチーム作りを見守っていきたい。

原文: 30 Teams, 30 Days: Blazers charting new trail by Shaun Powell/NBA.com (抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ