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2015-16 戦力分析:フィラデルフィア・76ers

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ゴールデンステイト・ウォリアーズが40年ぶりの優勝を達成した2014-15シーズン終了後、NBAの各チームは、オフに積極的な補強を行なっている。NBA.comでは、ショーン・パウエル記者が、全30チームの戦力を分析。今回は、フィラデルフィア・76ers編を紹介したい。

2015-16 NBA全30チーム戦力分析


新選手:ニック・スタウスカス、ジャリル・オカフォー、ジェラルド・ウォーレス、カール・ランドリー
 
退団選手:ジャベイル・マギー、ルーク・バーアムーテ、トーマス・ロビンソン

フィラデルフィア・76ersにとって、今オフの中心は、2人のビッグマンだった。新人ジャリル・オカフォーが希望の光だとすれば、ジョエル・エンビードがチームに与えたものは絶望でしかない。

当初のプランでは、今年のドラフトで即戦力ポイントガード、つまりディアンジェロ・ラッセルを指名し、足のけがから復帰するはずだったエンビード、ナーレンズ・ノエルによるチームを作ることを想定していた。だが、ドラフト当日、2位指名権を持っていたロサンゼルス・レイカーズがディアンジェロをサプライズ指名し、76ersはオカフォーを指名せざるを得なかった。

76ersがオカフォーを不要と判断していた理由は、彼の力不足を懸念していたからではない。1年目の昨季を全休したエンビードの復帰プランが順調に進んでいたため、昨季中にトレードで放出したマイケル・カーター=ウィリアムズの後釜が必要だっただけのことだ。

ドラフトから1か月後、エンビードは医師から2度目の手術が必要と診断され、来季も全休することが決定。蓋を開けてみれば、オカフォーの指名は正しい選択だった。

デューク大に1年のみ在籍したオカフォーは、ローポストでの得点力に優れている。フットワーク、柔らかいタッチ、そして状況判断能力を見る限り、19歳とは思えないほど成熟している印象を与える。多くのスカウトも、オカフォーが1年目に平均16得点は記録するだろうと予想。将来的には平均20得点、10リバウンドをあげられる選手に成長するだろう。NBA.comが実施した新人選手によるアンケートでも、1位指名を受けたカール=アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)を抑え、NBAで長期にわたり成功を収められる選手1位に選ばれた。

守備は散漫で、フィットネスレベルにも不安があるという評価も聞かれるが、それらは調整可能なこと。76ersがプレーオフを狙えるチームレベルにないことを考えれば、今後数年はミスから学び、いろいろと実験を重ねられる。そんな環境を与えるのなら、できるだけ早いほうが良い。

エンビードに関しては、正直76ersのフロントも困り果てているだろう。なにしろNBAでの実績はなく、どういう選手なのか、そしてNBAでどこまで成長できるかを判断する材料がないからだ。ただ、213cmの長身で技術のを兼ね備えるビッグマンは貴重なため、チームは最短でも2016-17シーズンまで公式戦には出場できない選手に大金を投じた。おそらく、今の76ersと似た状況のチームなら、同じ賭けに出ただろう。

仮にエンビードが健康な状態に戻っていたとしても、来季のプレーオフ進出は不可能で、来年のオフにもドラフトロッタリーに回るのは確実だったはず。来季は、オカフォーとノエルのフロントラインが機能するかを見極め、シーズン中のトレードで補強を進めることが優先される。

76ersは、今オフにサクラメント・キングスとのトレードを成立させ、将来的なドラフト指名権と交換で、ニック・スタウスカス、ジェイソン・トンプソン、カール・ランドリーを獲得した。ミシガン大でシューターとして活躍したスタウスカスは、ベン・マクレモアから先発の座を奪えず、得意の3ポイントシュートも成功率32%に終わり、期待外れの成績で1年目を終えた。だが、スタウスカスに適したシステム、そして若手による再建を目指すチームなら、シックスマンとして花開く可能性もある。いずれにせよ、キングスにいるよりも出場時間は得られるだろう。

現在の76ersは、優秀なタレントを見つける段階にいる。つまり、ロスターに登録された全員にチャンスが与えられるということだ。この夏に思い描いていたプランは実現しなかっただろうが、来季もロッタリーに回る可能性が極めて高いチームには、常に再建のための猶予が与えられる。

原文: 30 Teams, 30 Days: Sixers remain in rebuilding mode by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ