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[シーズンMVP受賞スピーチ]S・カリー「大事なのは、成功のために努力し続けること」

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Stephen Curry

現地4日、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステファン・カリーが、2014-15シーズンMVPを受賞した。カリーは受賞スピーチで、チームメイト1人1人へ感謝の気持ちを伝え、自身が思う成功するために必要な要素などについて語った。


まず初めに、この場に立てることを神様に感謝します。そして、僕を支えてくれた家族に感謝します。僕にとってバスケットボールをプレーすることの意味、そして僕自身でいることの重要性を十分に言葉にして伝えられず、すみません。とにかく、今この場にいられることに感謝の念しかありません、

言うまでもなく、僕はバスケットボールをプレーするのが大好きです。それは、両親がおもちゃのバスケットボールゴールを買い与えてくれた時から変わりません。

今日、僕がこの場に立てるのも、彼ら14人のチームメイトがいてくれたからです。僕がMVPを受賞できた理由でもあり、今のチームを構成できた要因でもある彼らについて、話をさせてください。このトロフィーのほかにも、数か月以内にもう1つトロフィーを勝ち取れたらと思っています。

LB(リアンドロ・バルボサ)、あなたの今のスピードを見ていると、以前シーズンMVPに輝いた選手とプレーしていた時は、もっと動きが速かったのだろうなと想像できます。あなたはきっとチーム内で最もひょうきんな選手です。まぁ、異論はあるかもしれないけれど(笑)。ただ、いつだって全力でプレーしている。出場時間が20分だろうと、5分だろうと、呼ばれれば全力を尽くす、そんな選手です。あなたこそ、真のプロフェッショナルだと思います。リスペクトしているし、あなたのままでいてくれてありがとう。

S・ドット(ショーン・リビングストン)。本当に、あなたのキャリアはクレージーの一言。誰もが、どういう状況を乗り越えてきたかを知っている。気を遣わなくて済むから、あなたとプレーするのは大好きです。いつも自分のすべきことをやっている印象を持っているし、チームも毎試合プレーしてくれると信頼しています。常にスタッツで目を見張る数字を残しているわけではないかもしれないけれど、チームの勝利に貢献してくれている。

B・ラッシュ(ブランドン・ラッシュ)。以前あなたがいた時のチームとは違うだろうけれど、あなたは練習であれ、試合であれ、常に準備を怠らない大事な存在の1人です。今季は、チーム内で適切なポジションを見つけられずに苦しかったと思う。でも、練習から僕らを追いこんでくれて、助かっている。これからも敵地での試合で、きっとあなたの助けが必要になるでしょう。色々な状況への対応には驚かされるし、感謝しています。ここにいる全員が同じ気持ちでいることでしょう。

スペイツ、マリース・スペイツ。君の気持ちの強さはチームに浸透する。本当にプレーを楽しんでいるよね。ピック&ロールから必ずシュートを決めるし、観客を興奮させるプレーをしている。プレーを楽しんで、競争心が強いのは特別なこと。これからも、今と変わらずプレーしてもらいたい。

アンドレ(イグダーラ)、僕らはバスケットボールの話題よりゴルフについて話すことが多いですね。でも、2年前にオラクル・アリーナのハーフコートで話したことは、今でも覚えています。思い返すと涙が出そうだ。僕にとってバスケットボールは大事なことだけれど、家族、そして信仰心は、その10倍くらい大事なもので、それはあなたも知っていますよね。コートで僕に話してくれたことは、一生忘れない。2年前の夏に下した決断は大きかった。あなたには感謝している。選手としても、人としても、感謝しています。

スワグ・エジーリ(フェスタス)。昨シーズンは辛いシーズンだったと思うけれど、見事に復帰したね。君は、常にコートに出たら何かをやってやろうという強い意志の持ち主です。フェスタスは、僕が相手のダブルチームを受けた時など、ピック&ロールから彼にパスを出せない時、凄く怒るんです。ペイント内でボールを受けて、右手でフックショットを打ちたかったことがあった時があったようだけど、パスを出せない時もあるのです。そんな時、彼に、「さっきのプレーで俺のこと見ていた?」と言われたこともありました。僕は、「あぁ、見ていたさ。ただ、ボールを出せなかったんだよ」と返答したり。実際は、あまり見ていないんだけれど(笑)。でも、昨日の試合(メンフィス・グリズリーズとの西準決勝第1戦、ウォリアーズが101-86で勝利)で決めたプレーには興奮したよ。それが、僕らの関係性だと思う。君は、常に成長しようという強い気持ちを持っている。それは素晴らしいことだよ。そういう姿勢があれば、リーグでも長くプレーできるはず。これからも、変わらずにいて欲しい。

ドレイモンド(グリーン)。君は最高のスクリーンをセットしてくれる。君とボス(アンドリュー・ボーガット)は、僕を含めて自分たちのことを“ステファン・カリーとスクリーンセッターズ”と呼んでいるね。でも、君の強い気持ちと、声で引っ張る姿勢はチームにとって大事なんだ。僕はプレーで引っ張ろうとしているし、可能な限り安定したプレーをしようと心掛けている。でも君は、シュートを決めようが、外そうが、そんなことには関係なく、声を出して引っ張ってくれている。僕らも毎試合で信頼している。そして、それが君自身を作り出していると思う。君のキャリアを考えると、昨日の夜にメールで交わした会話の内容は、色々な観点から考えることもできる。そうですよね、ジョー(ウォリアーズのマジョリティオーナー/カリーは、オフに制限付きFAとなるグリーンを指し、意味深な笑顔で笑いを誘った)? 皆さんは、僕が誰に話しかけているか理解していないでしょう。ですが、それはそれとして、このまま続けます。

H.B.(ハリソン・バーンズ)。ブラック・ファルコン。君はチームに合流した初日から僕のロッカー仲間だ。いつだって僕の右隣のロッカーを使っている。プレー内容が成熟したと思うよ。ノースカロライナ大からリーグに入ったばかりの頃は、本当に若かった。ただ、僕らが初めて出会ったのは、ウェイクフォレストでクリス・ポールが開催したキャンプだったね。君は、車のトランクからフォームローラーを取り出そうとしていた。フォームローラーを使ってストレッチする高校生なんて初めて見たよ。君はフォームローラー無しではコートに立たないような感じだった。あれから何も変わっていないよ、兄弟。君はキャリア年数以上に頭が良くて、成熟した選手だ。ここ3シーズンの成功に大きく関わった存在だよ。1年目のプレーオフで見せたプレーしかり、毎シーズン成長し続けている。これはチームにとってすごく大きなことなんだ。現役を引退した後、もし何かを始めるのなら、それが何でも僕は支持する。今日ご列席してくださっているオークランド市長にも色々と話を聞けるかもね。いずれにしても、僕は君がすることを支持するよ。

ジャスト・ホルターことジャスティン・ホリデイ。君と一緒にプレーするのは今季が初めてだね。ただ、君がNBA選手になるまでのストーリーや、チームの一員になるまでの過程は、素晴らしいと思う。自信を持ってコートに出て、全力でプレーを決めようとする。それは、人に勇気を与えることだと思う。今季はチームにとって大きな存在だった。その点は、チームとして強調したい。素晴らしいプレーを続けている。これからも、やり続けてもらいたい。君は、このレベルでも戦える特別な選手だし、これまでの歩みを誇りに思う。

そして僕の相方、クレイ・トンプソン。君は本当に物静かな男さ。これまでよりも確実にレベルアップしているよ。付き合いが長くなれば長くなるほど、君が物静かということがわかってくる。どのチームの選手だろうと、君なら勝てる。君がいるおかげで、僕もプレーしやすくなる。ベンチに戻ると、君がウィングからシュートを何本も放って、その大半を決めている姿を何度も目にしてきた。これからも、君とは長くプレーしたい。僕らは、きっと特別なことを成し遂げられる。史上最高のバックコートを形成したい。それは、僕らにとってのミッションでもある。切磋琢磨し合って、是非とも実現させよう。

アンドリュー・ボーガット。彼は相手のプレーを消す存在です。彼がチームにトレードされてきた時は怪我をしていて、ちょうど僕も怪我をしていた時期でした。チームはロード遠征に出ていて、僕らは治療のために残っていたので、彼をホテルまで迎えに行って、サンフランシスコの僕のアパートに一緒に行ったことがありました。アパートは狭い寝室が2部屋の広さだったので、ちょっと緊張したのを覚えています。彼は寝室には入らないだろうし、狭いリビングスペースに、身長213cmの彼が小さなソファに座るわけですから。案の定、彼は、ひざを抱えてテレビで試合を見ていました。その時から、彼にとってバスケットボールがどういうものかわかったし、怪我を克服しようと努力していた姿も見てきました。今シーズンは健康な状態を維持していて、チームに大きく貢献してくれています。あなたのおかげでチームの守備は安定しているし、誰とマッチアップしようが、関係なく戦う姿に感銘を受けています。毎試合で身体を張ってくれて感謝していますよ。ありがとう。リスペクトしています。

D・リー。チーム在籍年数で言えば、彼と僕が最も長い。彼とは2010年からプレーしています。その当時からのことを知っているのは僕らだけだから、その話をジョークとして言うこともあります。これは特別なことでもあります。あなたはオールスターで、これまでのキャリアで多くのことを成し遂げてきた。それは、今季も変わりません。昨日も話したけれど、常に試合に出られる準備を整えてくれていることは、今季チームが収めた成功に大きく関わっています。あなたのような存在がいなければ、正反対の結果を残していたかもしれないのですから。あなたは素晴らしい友人の1人です。球団内部の変化について、誰よりも感謝の気持ちを持っているのは、きっとあなたと僕でしょう。課せられた仕事を果たして、(優勝)リングを勝ち取って、お祝いしましょう。

(ジェイムズマイケル)マッカドゥー、そして(オグニェン)クズミッチ。君たちをまとめて紹介するわけではないけれど、チームに加わってから、まだ日が浅い。クズの方がマッカドゥーよりも少し長い。彼はDリーグのサンタクルーズ・ウォリアーズ優勝に貢献した選手です。練習の前後からハードなトレーニングを積む君たちには感謝している。練習が始まる前から一生懸命に取り組んでいる選手がいると、良い熱を持ってトレーニングに入れる。君たちの姿勢が、練習への意欲を駆り立ててくれるんだ。毎日チームのために力を尽くしてくれて、本当にありがとう。君らには明るい未来が待っているはずさ。

ふぅ、これでチームメイト全員のことを紹介できましたね。皆について語る時間を取らせてもらいましたが、僕らは共に多くの思い出を共有しています。そして、これは僕らの旅路において、ほんの一瞬を写し出したスナップショットでしかありません。たとえ今季がどういう形で終わろうとも、僕ら全員が特別なシーズンとして記憶するでしょう。ただ、僕らには今シーズン中に成し遂げたい大きな目標があります。それを達成できたら、これから何年にも渡って語り合うことができるのです。

今日の瞬間を思い返す時、僕らは色々な話をするでしょう。できることなら、これから数か月以内に、チームにとって大きな意味のあることを成し遂げたい。今の状態にいたるまで、僕らがチームのためにどれだけ献身的な姿勢で取り組んできたか、一貫性を持って取り組んできたか。それを成し遂げられたのは、彼ら14人がいたからです。この方程式に腐ったリンゴはあってはならないし、僕らの中に、そのような存在はいません。

ですから、この瞬間に感謝しています。彼らが今ここにいてくれて、本当に嬉しく思います。(MVP受賞は)彼らがいなければ、実現していないでしょう。皆には、(トロフィーに)指紋を残してもらいたい。そうすれば、僕も今シーズン一緒にプレーした皆のことを忘れずに済みます。皆には心から感謝しています。本当にありがとう。

長々と喋りましたが、もうすぐ終わります。信仰心、情熱、チームメイトとの絶え間ない努力について話をしてきました。これらのことを実行するには、成功するという強い意志が必要です。努力をして、それを証明する自信を得る。僕が皆さんに言えることがあるならば、自分がやっていることでベストを尽くすべき、ということです。

誰かの真似をする必要はないのです。成功を収める、あるいは何かを成し遂げるには、特定の何か、もしくは奇想天外なライフストーリーが必要という意見もあります。ですが、それは真実ではありません。生い立ち、才能の有無や欠如に関わらず、神様を信じ、絶え間ない情熱を持って、自分が決めたこと、自分の人生において成し遂げると決めたことに向けて、努力し続け、絶対に成功するんだという強い意志こそ、何よりも必要だと思います。自分の人生を生きて、毎日努力を続けてください。自分でいること、驕らずにいること、そして自分の人生に感謝を忘れないこと。世界中の人たちに、そのように考える良い影響を与えられれば嬉しく思います。シーズンMVPを受賞できたことを、心から光栄に思います。ご清聴、ありがとうございました。

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ