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富樫勇樹: 「最低の出来」にも「落ち込んでいるわけではない」 (宮地陽子)

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1月15日から開催されたDリーグのショーケースで、富樫勇樹は持ち味と課題の両方を露呈した。初戦、15日のベイカーズフィールド・ジャム戦では、第3Q終盤、23点差を追う場面で出場。出た直後にダブルチームでプレッシャーをかけられてターンオーバーをしてしまったが、そこから立ち直り、積極的にドライブインを狙ってからのパスアウトで、味方のシュートに繋げた。

結果、出場時間6分余で3アシストを記録。チームも、富樫が出ている間に12点も点差を詰めている。ヘッドコーチのエドワルド・ナヘラも、「試合に出てすぐに、緊張していたのか、ターンオーバーしてしまった。でも、その後によく立て直し、いいプレーをたくさんして、点差を詰める助けになっていた」と評価した。

2試合目、18日のメイン・レッドクロウズ戦は、相手のポイントガードのサイズが小さく、すばしっこい選手だったので、出場時間が増えることが予測されていたが、この試合でも試合に出てすぐにドライブインからのパスを連続でスティールされてターンオーバー。前の試合では何回も成功していたプレーだったのだが、相手に完全に読まれていた。

富樫自身も「あんなプレーをしていれば出してもらえない」と言うような、痛恨の連続ミスだった。そのため、わずか2分余りで交代となり、結局、その後は出番もなかった。

試合後に、富樫に話を聞いてみた。

──きょうの試合(18日、対メイン・レッドクロウズ戦)では試合に出てすぐに連続ターンオーバーをしてしまいましたが……。

富樫:きょうは、Dリーグに来てからの中で、自分としては一番だめだった試合でした。相手のディフェンスによってターンオーバーが起きたわけじゃなくて、全部が自分の責任。悔しいというか、それを通り越して、ちょっと笑えるぐらいの、最低の出来でしたね。

──ターンオーバーは2本ともパスでしたが、自分でシュートは打てなかった?

富樫:1つ目のシュート打てたんですよ。たぶん、両方とも打てたと思うんですけれど、打たなかった。

──ターンオーバーが続いたため、試合に出て2分余で交代になって、後半も出番なしでした。

富樫:きょうは相手のガード選手の(すばしっこい)プレースタイル的にも、相手がスモール・ラインナップを多く使ってきたこともあって、ふつうにやっていれば出場時間はけっこうもらえたと思うんです。でも、あんなプレーをしていれば、もちろん後半もなかなか出させてもらえないのはわかります。きょうのことは忘れて、切り替えるしかないかなと思います。

──与えられた時間が短くても、その時間の中できちんと結果を出さないと、その後のプレータイムがもらえないのが難しいところですね。

富樫:そうですね。試合に出て何もしないっていうのもよくないですけれど、きょうに関しては問題がターンオーバーだったから、一番悪いです。自分のなかで、ベンチから出てきてターンオーバーっていうのは、一番よくないと思っています。とはいえ、年に何回もあることじゃないですし、落ち込んでいるわけではないです。ただ、確実にもっと出られた試合であったので。そこはやっぱり悔しいです。

──ヘッドコーチのエドワルド・ナヘラに、富樫は今後何を改善する必要があるかと聞いたところ、もっと場に慣れて、慌てずにプレーできるようになると試合で使いやすいと言っていました。

富樫:うーん、そうですね。慣れてきたとは思うんですけれど。もちろん、チームのメンバーとも、普通にいいコミュニケーションが取れていますし……。

──きょうの試合だけでなく、Dリーグでプレーしてみて、コートの上に出たときに自分の力をアピールすることができるようになったと思いますか?

富樫:そうですね。出場時間はそれほど多くないですけれど、自分のプレーができているときもあるので。

ただやはり、たとえば前半に出なくて、後半に急に出されるようなときには足も固まっていることも多いんです。レジェンズのホームコートもそうなんですけれど、こっちの会場はアイスリンクの上にコートを敷いているところも多くて、寒いんですよ。特にベンチに座っているとさらに冷える。その中でいきなり試合に出されて、自分でも感覚がよくないのがわかるので。シーズン最初のうちは、そこをあえて積極的にシュートに行くことがなかなかできなかったんです。

それでも4、5分の中で何かしらスタッツに残ることをしないと、これからにつながっていかない。だから、最近はシュートを打てるスペースがあるときは、いつも以上に積極的に打つようにしていたんですけれど。きょうも、本当はそれができていれば、最初の1本もたぶんターンオーバーにはならなかった。シュートが入る、入らないにかかわらず、(ターンオーバーではなく)シュートで終われば、まったく悪く見えないと思うので。

──サマーリーグのときも、Dリーグでも、活躍している試合は最初のシュートが決まっているような印象があります。

富樫:そうかもしれないですね。1本目にしっかり打つべきところで打つと、それなりにシュートが入ったりしますし。1回目に打たずに、2本目、無理してショットを打ったりすると、確率は落ちると思うので。打つべきところというか、自分が打てるスペースがあるときはすべて打たなきゃいけなのかなと思います。

文:宮地陽子  Twitter: @yokomiyaji

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