NBA

プレーオフ1回戦プレビュー:セルティックス対キャブズ

Sporting News Logo

開幕からの数ヵ月間、昨年オフに大補強に成功したはずのクリーブランド・キャバリアーズ(53勝29敗/イースタン・カンファレンス第2シード)は、周囲が設定した標準から最もかけ離れた成績を残したチームだった。反対にボストン・セルティックス(40勝42敗/同第7シード)は、レギュラーシーズン残り数カ月間で、周囲が設定した標準を遥かに超える成績を残した。

そんな2チームによる同シリーズで注目される5つのポイント、展望、勝敗予想を、NBA.comのショーン・パウエル記者が独自の視点で予想した。

◆5つの注目ポイント

1. ケビン・ラブはプレーオフでギアを上げられるか?

ようやく念願を叶えたラブにとって、 プレーオフは再び実力を証明する舞台でもある。ミネソタ・ティンバーウルブズ時代に圧倒的な存在だったからこそ、アメリカ代表、オールスターにも選出された。それがキャブズに移籍後は影を潜めてしまっている。レブロン・ジェイムズのチームだけに致し方ないかもしれないが、最低でも、プレーオフに進出したチームにとって脅威、あるいは懸念材料になれるだけのプレーを見せないといけない。

2. カイリー・アービングはアイザイア・トーマスを抑えられるか?

序盤戦のセルティックスには、相手ディフェンスをきりきり舞いにさせられるスコアラーがいなかった。ところがフェニックス・サンズからトーマスを獲得後、攻撃の核が誕生。現在のアービングは、守備に意欲的ではなかった2年目までとは異なるが、弱点である部分を攻めてくるトーマスを止めるには、全力で取り組まなければならないだろう。

3. ティモフェイ・モズゴフはペイント内で“違い”を生み出せるか?

今回のシリーズで生粋のセンターはモズゴフだけ。オフェンスの中心を担う役割は与えられないだろうが、アービングとジェイムズがインサイドに入った際にパスの受け手となり、相手ディフェンスを引き付ける、またはプットバックでの得点で貢献する存在になれる。

4. どちらのHCが優位な立場に立てるか?

両HCにとって未知の領域となるが、大学レベルからNBAへとやって来たブラッド・スティーブンズHCを相手に、すでに指導者として評価の高いデイビッド・ブラットHCが負かされるわけにはいかない。

5. ジェイムズは“苦手”なフリースローを克服できるか? 

今季は71%の成功率と、直近8シーズンで自己最低、キャリア2番目に低い数字を記録した。誰よりも注目され、勝敗のかかる重要な場面でライン上に立つ可能性が高い選手だけに、1回戦では問題なくとも、それ以降のシリーズでは大きなプレッシャーとなる可能性もある。

◆シリーズ展望

キャブズの戦術はシンプルだが、攻略は至難の業。基本的にアービングとジェイムズがボールを持つところから始まり、ほかのチームメイトはそれぞれのスポットに待機して、相手がボールハンドラーにダブルチームを仕掛けたことでオープンな状態になるのを待つ。アービングはドリブルからの仕掛けと揺さぶりに加え、重要な局面で3Pも決められる。ジェイムズに関しては、言わずもがな。オープンなチームメイトを探しつつ、早めにラブとモズゴフにボールを落ち着かせて、決めにかかる。

セルティックスには、トーマス以外に脅威になれるスコアラーはいない。つまり、トーマス、そしてエイブリー・ブラッドリーが攻撃の要とならなければならない。幸い1試合平均10得点以上の選手が6人いるので、トーマスらがオープンな状況を作り出せれば、得点に繋がる可能性も出てくる。

◆勝敗予想

キャブズにとって脅威となりえる要素をセルティックスは持っていない。セルティックスに限らず、イーストの下位シードはスター選手に欠け、運頼みという感も拭えない。オールスターブレイク以降リズムに乗ってチーム状態が安定し、ジェイムズが1回戦から圧倒して他チームにプレッシャーをかけようと意気込んでくることが予想されるため、キャブズが4勝0敗で勝ち上がるだろう。

著者