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プレーオフ1回戦プレビュー:ウィザーズ対ラプターズ

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今季序盤戦のイースタン・カンファレンスを引っ張ったのは、ワシントン・ウィザーズ(46勝36敗/イースタン・カンファレンス第5シード)とトロント・ラプターズ(49勝33敗/同第4シード)だったと言える。その2チームが、現地18日からスタートするプレーオフ1回戦で対戦することになった。今回のシリーズで注目される5つのポイント、シリーズの展望、そして勝敗に至るまで、NBA.comのジョン・シューマー記者が独自の視点で予想した。

◆5つの注目ポイント

1. ホームコートアドバンテージは影響する?

昨季のプレーオフでホームコート・アドバンテージを得ながらも、ラプターズは4試合で2敗を記録。逆にホームコート・アドバンテージを得られなかったウィザーズは、シカゴ・ブルズ、そしてインディアナ・ペイサーズとのシリーズを合わせ、敵地での6試合で5勝1敗と勝ち越した。ここ12シーズンでの統計上、レギュラーシーズンの戦績で4ゲーム差以内の2チームが1回戦で対戦した場合、ホームコート・アドバンテージを持っていないチームが62試合で33勝をあげている。参考までに、ラプターズとウィザーズは3ゲーム差でレギュラーシーズンを終えた。

2. 選手層が厚いのはどちら?

選手層の厚さではラプターズに軍配があがる。ウィザーズは、先発3選手以上がコートに出ている時は相手を圧倒できるが、3人以上スターターがベンチに下がった瞬間に守備は崩壊する。ラプターズのセカンドユニットによるオフェンスは破壊力が高く、グレイビス・バスケス、ルー・ウィリアムズ、パトリック・パターソン、タイラー・ハンズブローがコートに出た約500分間でのデータになるが、100回のボールポゼッションで対戦相手よりも平均して12得点近く上回っている。

3. どちらのオールスターポイントガードがチームにとって欠かせないのか?

カイル・ロウリーは攻守に優れたブルドッグ的存在で、ここ数年では、その存在にラプターズが助けられたことも少なくなかった。しかし、ラプターズにはデマー・デローザン、バスケス、ウィリアムズという優秀なサポート役が控えている。ところがウィザーズはと言うと、ジョン・ウォールに頼り切り。ウォールが今季ボール保持した時間はリーグ最長で、ほかのPGは安定感に欠ける。すなわち、ウォールの肩に、よりプレッシャーがかかる。

4. どちらの先発センターが試合終盤に活躍する?

第4クォーターに出場した時間は短いものの、マーチン・ゴータットは全盛期のカルロス・ブーザーに匹敵する。一方ジョナス・バランチュナスは、今季ラプターズにとって“クラッチ”の時間帯に63分しか出場機会を与えられていない(ラスト5分で5得点未満)。ドウェイン・ケイシーHCは、アミア・ジョンソン、パトリック・パターソンに依存する傾向がある。

5. より結果が求められるのは、どちらのHC?

両チームのHCともに、昨年3年の延長契約を勝ち取ったが、最終年の2016-17シーズンはチームが契約オプションを保持している。そして、両チームともに後半戦に勢いを失ったことで批判も浴びた。ミッドレンジからのオフェンスに固執したランディ・ウィットマンHC、そして昨季はトップ10だった守備力をリーグ下位10位以内に落ち込ませたケイシーHCを比較すれば、その答えは自ずと導き出されるはずだ。

◆シリーズ展望

ラプターズはランニングチームではないが、チームオフェンスの13%はボールを奪ってから6秒以内に放っている(昨季より11%増)。ハーフコートではロウリーとジョンソンによるピック&ロールを駆使するほか、デローザンがウィークサイドをカバーし、ジャンプシュートを放つ際、アグレッシブに守ろうとする対戦相手からファウルを多く誘う傾向がある。
ウィザーズの攻撃はウォールとゴータットのピック&ロールが基本で、SportVUのデータによれば、今季イーストのチームで彼ら2人よりも多くピック&ロールを実行したデュオはいないという。そこにブラッドリー・ビールがピンダウン・スクリーンを利用してシュートまで持っていくという形も持っている。

◆勝敗予想

仮に誰かの調子が悪くても、ラプターズはより多くのオプションを保持している。しかし、両チームの実力は拮抗していると言って良い。レギュラーシーズンの対戦ではラプターズが全勝したものの、ビールが出場したのは3試合中1試合のみ。仮にラプターズが球団史上初めて7戦によるシリーズを勝ち上がるとしたら、最終戦に持ち込んだ場合に限られるだろう。意地と粘りが勝り、4勝3敗でラプターズが勝ち上がると予想する。

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