[宮地陽子コラム第24回]NBAサマーリーグに参加した日本人たち
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[宮地陽子コラム第24回]NBAサマーリーグに参加した日本人たち

富樫勇樹(ダラス・マーベリックス)が参加したことで注目を集めたラスベガスのNBAサマーリーグ。実は彼以外にも、このサマーリーグに参加していた日本人がいた。確認できただけで4人の日本人スタッフが、それぞれのチームを支えていたのだ。

ミネソタ・ティンバーウルブズでスポーツ・パフォーマンス・ディレクターとして働く佐藤晃一、クリーブランド・キャバリアーズでアシスタント・アスレティック・トレーナーおよびパフォーマンス・サイエンティストとして働く中山佑介、シカゴ・ブルズのビデオ・コーディネイターの吉本泰輔、ヒューストン・ロケッツでアスレティック・トレーナーのインターンをしている藤井大樹だ。また4人のほかに、bjリーグの秋田ノーザンハピネッツの新ヘッドコーチ、長谷川誠も、コーチングの勉強のため、トロント・ラプターズのミーティングに同席し、練習を見学していた。

この中で、最もサマーリーグ経験が豊かなのがウルブズの佐藤だ。ワシントン・ウィザーズでアシスタント・アスレティック・トレーナー兼リハビリコーディネイターだったときに5回サマーリーグを経験しており、今回で6回目だという。


Koichi Sato, Photo by Yoko Miyaji

「今回はヘッド・アスレティック・トレーナーが来ていなくて、アシスタント2人と僕が来ています」と佐藤。今は彼自身がディレクターの立場なので、サマーリーグでは若手のサポート役だ。

「選手と同じで、サマーリーグはアシスタントが前に出て頑張る場なんです」(佐藤)。

佐藤はサマーリーグのメリットのひとつとして、他チーム同業者たちとの交流や情報交換ができることを挙げた。レギュラーシーズン中は試合ごとに移動という日程でゆっくり話す機会がないが、1週間あまり同じ街に滞在するサマーリーグ中なら、そういった時間もとれる。情報交換することで、それぞれがさらに成長することができる。


Yusuke Nakayama, Photo by Yoko Miyaji

昨秋のトレーニングキャンプ直前からキャブズに合流した中山にとって、サマーリーグで働くのは初めての経験だ。もっとも、昨シーズン中にも上司が遠征に同行しなかったときにすでに責任者としての役割を経験しており、サマーリーグだからといって特に新しいことをやっているわけではない。それでも、夏前にコーチ陣が入れ替わり、デイビッド・ブラットHCの体制になった中で、練習や試合中の新コーチ陣とのコミュニケーションの取り方を学んでいると言う。特にブラットHCのように、NBAで初めてのコーチングの場合は、HC自らサマーリーグ・チームを率いているから余計に、そういった意味合いが大きくなる。

「レギュラーシーズンの準備期間にあたるプレシーズンの、さらにその準備期間という捉え方をしています」(中山)。



Upper: Daisuke Yoshimoto, Lower: Motoki Fujii, Photo by Yoko Miyaji


ブルズの吉本は、サマーリーグでは3年前からコーチの立場でベンチ入りしている。ふだんの試合のときはビデオ・コーディネイターとして、試合中でもロッカールームに残り、ハーフタイムや試合後のための映像編集をしているだけに、サマーリーグならではの経験だ。

「自分にとっては、今までビデオ(コーディネイター)でやってきたことを生かす場。(ビデオ・コーディネイターとしては)インプットばかりしてきているので、アウトプットをできる場所です」と吉本は語る。

「選手だけでなくスタッフも、たとえばヘッドの人たちがオフを取ったりして、アシスタントがヘッドの仕事をやれる場がサマーリーグですね。若い人たちにとってもいい経験の場になっているかなと思います」。

コーチの視点から、サマーリーグの選手たちを見るときに、どんなところを見ているか聞いてみたところ、「数字が大事かというと、必ずしもそうではないと思う」という。実際に、去年のサマーリーグで得点王だった選手(ドワイト・バイクス)も、リバウンド王だった選手(マルコム・トーマス)も、いまだにNBAには定着できていない。これは、サマーリーグでは全体にどのポジションも、実際のNBAチームよりもサイズが一回り小さいことにも関係しているのではないかと、吉本は推測する。

そんな中でコーチ視点からみて、いい選手の判断材料のひとつになるのは、少ない回数の練習で、どれだけ新しい用語を覚え、チーム戦術に適応し、コート上でそれを出せる選手かどうか、ということだと言う。

「頭での理解だけでなく、それを行動に移せる選手はすごく買われると思います」と吉本は言う。


Makoto Hasegawa, Photo by Yoko Miyaji

ラプターズのコーチ・ミーティングや練習を見学した長谷川も「ここに来ている選手たちは(日本と比べて)レベルが高いので、コーチが少し言ったことを、すぐに理解して覚えている」と感嘆していた。また、サマーリーグとはいえ、ビデオを使ったミーティングや練習などがしっかりと行なわれていることにも、「個々のプロ意識がすごく高いというのを改めて感じた」と言う。

「これからの若い選手、若いスタッフを含めて、どんどん、こういう場を経験してほしいと思います」(長谷川)。

文&写真:宮地陽子 Twitter: @yokomiyaji

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